2013年 06月 15日
卒業式 |
先々週は、大阪大学から橋本幸士さんがCaltechを訪問してくださいました。おかげで、楽しい議論ができました。
そのときの様子は、こちらをご覧ください。 ⇒ 橋本さんのブログ記事
また、サンタバーバラからジョセフ・ポルチンスキーさんがいらして、物理学教室のコロキウムと、素粒子論研究室のセミナーで、ブラックホールの防火壁の話をしてくださいました。
また、先週はMITから共同研究者のホン・リューさんが来てくださり、毎日、朝から夕方まで議論をしました。今週の前半は、東海岸に出張していました。
来週は、コロラド州のアスペンによってから、6月22日の土曜日には、朝日カルチャーセンターの新宿教室で「超弦理論」講座を開きます。申込者多数のため210名収容の住友ホールで行うことになり、現在のところ申込者が160名だそうです。お申し込みはこちらから。
さて、今日はCaltechの卒業式がありました。私もアカデミック・ガウンを着て参加しました。毎年できるだけ参加しようとしているのですが、昨年はイスラエルへの出張のために欠席しました。
2011年の卒業式の様子はこちらに書きました。
左の写真は、行進のために、教授たちが並んでいるところです。卒業大学ごとに、ガウンの色やスタイルが違うので、色とりどりで華やかです。
Caltechは小さい大学なので、全学の卒業生に、学長がひとりずつ卒業証書を手渡します。
卒業式の最後には、クラウザー賞の発表があります。これは、その年の博士課程卒業生の中から 「新しい考え方や探求の方向を開く可能性があるという点と、その研究の巧みさから判断して、最も独創的であると判断された」 博士論文に与えられます。
Caltechでは、博士論文の公聴会が終わると、審査委員会が博士号授与についての判断をするほかに、クラウザー賞に推薦するかどうかを決めます。このようにして推薦された候補者の中から、選考委員会によってひとりの受賞者が選ばれます。
受賞者の名前は卒業式の最後まで秘密で、受賞者にも知らされていません。学長のスピーチの最後に名前が発表されます。
2010年の卒業式では、私とセルゲイ・グコフさんが共同の指導教官になっていたテューダー・ディモフテさんの論文が選ばれました。
今年度のクラウザー賞受賞者は、ジェームズ・マッコーンさん。人工光合成についての論文で、太陽光のエネルギーで水を水素と酸素に分解する新しい触媒を開発したのだそうです。実用的な人工光合成ができるようになると、化石燃料の枯渇や気候変動の問題の解決につながるので、重要な研究です。
学長のジャン=ルー・シャモーさんは今月末に退官になるので、今回が最後の卒業式でした。シャモーさんのスピーチの後で、閉会の挨拶をなさった理事長のデイビッド・リーさんは、卒業式に先立って行われた理事会の総意として、シャモーさんの業績を讃え、シャモー冠教授職を設けること、またシャモーさんを名誉学長に任命することを決定したと発表されました。
私が指導教官をしていた学部学生も3名卒業しました。米国の大学では、卒業式のことを "Commencement" つまり「始まり」という言います。これまでは学生だったが、これからいよいよ社会人としての人生が始まるという意味でしょう。卒業生の皆さんの、今後の活躍を楽しみにしています。
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by planckscale
| 2013-06-15 13:33