2018年 08月 27日
アスペンのパティオ |

アスペン物理学センターの理事会も無事に終わったので、研究に集中することができます。
先週は、研究所全体に向けたコロキウム講演をしました。
5月にCaltechで開かれたファインマン生誕100周年記念シンポジウムでの私の講演をYoutubeのビデオでご覧になったイリノイ大学のゴードン・ベイムさんが、同様の講演をアスペンでも企画するようにコロキウム委員会に提案してくださったのです。
Caltechでの講演は30分で、一般の参加者も数多くいらっしゃいましたが、アスペンでも講演は物理学者向けなので、新しい話題を加え、また理論的にも掘り下げた内容にしました。
9年前のフンボルト賞の授賞式で、ルードビッヒ・ファデーフさんにお会いした時に、
「ファインマンが亡くなった直後にCaltechに行ったときに、可積分模型のベーテ仮設についての分厚いノートを見た。ファインマンがなぜこの話題に興味を持っていたか知りたいので調べてくれないか」
と頼まれました。
そこで、Caltechの資料室に行ったのですが、ファインマンが亡くなる1年前に行ったセミナーのための、10ページ程度のノートしか見つかりませんでした。
翌年、ファデーフさんにベルリンでお会いした時に、10ページのノートしかなかったと報告したら、
「そんなはずはない。私はこの目で、こんな分厚いノートを見たんだ」
とおっしゃっていました。
アスペンでコロキウム講演をする機会に、もう一度調べてみようと思い、Caltechの資料室を再訪し、また、ファインマンさんが亡くなったころにCaltechの大学院生だった人たちにも相談しました。
このような調査で、ファインマンさんがなぜベーテ仮設に興味があったのか、また、ファデーフさんがご覧になったノートはどこにあるのかがわかりました。そこで、コロキウムではこの話題についてもお話ししました。
講演のビデオはありませんが、スライドは私のウェブページに置いておきましたので、よろしければご覧ください。
⇒ アスペン物理学センターコロキウム
今週は F理論のワークショップで、量子重力のスワンプランド問題について話をすることになっています。
さて、アスペン物理学センターには、屋外のセミナー室があります。美しい自然の中でのセミナーは気持ちがよく、また、音楽祭の野外音楽堂から夜のコンサートのためのリハーサルの音が聞こえてくるのも一興です。
この屋外セミナー室は、1965年に建てられたもので、改装したいというのが長年の懸案でした。
そこで、建物委員会に屋外セミナー室の改装案を提案してもらい、今年の7月の理事会で承認されました。
20年前にスマート・ホールを設計してくださったハリー・ティーグさんが、今回も設計を担当してくださり、上の写真のような素敵なデザインになりました。
下の写真は、デザインの詳細を議論している様子。
来年の夏までには改装が終わることになっているので、楽しみです。

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by PlanckScale
| 2018-08-27 06:59